セルフメディケーションSelf-medicationSTORY 02

液剤賦香技術

多様化するニーズに応え、より多くの方に選ばれる風味を実現

「良薬は口に苦し」といわれるように、医薬品の有効成分は、味や香りが人間にとっては不快に感じられるものが少なくありません。リポビタンDは「もともと栄養剤として販売していたアンプル瓶の量を増やして大型にすれば薬くささも薄れ、さらに冷やして飲むことで、より美味しく、栄養成分を手軽に摂ることができるのではないか」という斬新なアイデアのもとに1962年に誕生しました。その後リポビタンDは口当たりのよさ、タウリンなどの成分の効き目感、高度成長期という時代を背景にロングセラー商品となりました。今日までドリンク剤の「有効性」「安全性」「品質」はもちろん「風味」にもこだわり、さまざまな技術開発を進め、多くの方々にご愛飲いただいています。これまでに培った製剤技術と最新の研究開発技術を融合し、これからも日々変化するニーズに対応し、よりみなさまに選ばれる製品を開発して参ります。

マスキングによる風味改善、
味覚・嗅覚へのこだわり

不快臭・不快味のマスキング

ドリンク剤には多くの有効成分を1本で摂れるメリットがあり、手軽に飲める一方で、錠剤と比較すると味や香りを感じやすいという特徴があります。配合される成分には不快な味や香りのものも少なくないため、それらの不快味・不快臭のマスキング技術を日々改良し研究しています。

特にビタミンB₁は、水中で分解すると特有の不快な"ビタミン臭"を生じます。大正製薬では、これにポリフェノールなどを組み合わせることで、"ビタミン臭"を軽減する技術を保有しています。(特許第4100224号ほか)

また、鉄には難消化性デキストリン等をあわせて配合し、血液や鉄さびのような不快な味を低減する技術を保有しています。(特許第4407006号ほか)

このほかにも、ジメモルファン・ロキソプロフェン・生薬類の不快味マスキング技術(特許6350157号ほか)、アミノ酸・コラーゲン・グルコサミン・カテキン・ホップ・サーデンペプチド・アンセリン・亜鉛の不快味マスキング技術(特許5176418号ほか)など、さまざまな風味改善技術を駆使して、1本に多くの有効成分が配合された飲みやすい製品を開発しています。

味覚・嗅覚と分析技術の融合

専門の風味設計者

大正製薬の風味設計の中核を担っているのは、社内独自の風味試験に合格し、自らの味覚と嗅覚を日々磨き続けている専門の風味設計者たちです。これらの風味設計者が、日々、風味改良や風味技術開発に取り組んでいます。

ヒトは風味の大部分を香りで感じているといわれており、香りは風味設計をする上で重要な要素のひとつです。大正製薬では、香り付けのために使用する香料を自社で多種所有しており、風味設計者がこれら香料の組み合わせを一つひとつ試すことで、風味評価を実施しています。多いときは100種類以上の組み合わせを試し、最終的にひとつの味を作り上げていきます。

香気成分の分析

風味設計者の感覚だけでなく、機器分析を融合させることで、ヒトの感覚を理論的に説明する研究や新たな風味設計の可能性を探る研究を進めています。

「香気分析」では、風味設計者自身の"鼻"が検出器となり、対象物の匂いの質・強さの評価を行います(図のアロマグラム)。ヒトによる評価とガスクロマトグラフィー質量分析計による成分分析(図のガスクロマトグラム)を同時に行い、不快臭の原因成分の探索や当社が保有するマスキング技術の効果の確認などを行っています。

アロマグラムとガスクロマトグラムの図

経時的な風味変化を捉える官能評価

ドリンク剤の飲み始めと飲み終わりは風味の感じ方が変化することを考慮し、時間の経過による風味変化を可視化する技術を保有しています。不快な後味のマスキング技術やドリンク剤らしい「飲みごたえ」を付与する技術の開発に活用しています。

経過時間別に最も優位な風味用語を選んだパネリストの割合を表した図

日々、技術を進化させるためのあくなき挑戦

今回紹介した風味設計技術だけでなく、有効成分の溶解、有効成分の安定化についても多くの技術を保有し、社外研究機関とも連携して幅広い研究を行っています。さらに生体反応計測(脳波など)により、直感的・無意識的なヒトの「感性」を可視化し、まだ表面化していないニーズや深層心理にアプローチする研究にも力を入れて取り組んでいます。

ドリンク剤飲料処方設計技術の図

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