セルフメディケーションSelf-medicationSTORY 06

食品研究

有用な素材を見出し、日常生活に溶け込む製品の開発につなげる

大正製薬では、生活者のみなさまの健康をサポートする食品の研究開発に取り組んできました。保健機能食品には、単なる嗜好品とは異なる確固たる有効性、日々の生活に無理なく取り入れられる風味や使いやすさ、安心して使い続けることのできる品質や安全性の確保など、さまざまな要素が必要です。これらの要素をすべて満たす、優れた製品の開発に向け、薬理、製剤、分析といったさまざまな面から研究開発を進めています。

血圧の維持に有用な食品素材のスクリーニング

国内外の食品素材700種の中から、有効な素材を見つける

大正製薬では、高血圧対応製品の開発を目的として、血圧低下作用を有する素材の探索を行いました。

国内外の食品素材を集めることから始め、素材自体の安全性や工業化を考慮して、約700種類にまで候補を絞り込みました。ここから約1年かけて、有効性の観点からスクリーニングを進めた結果、最適な素材として見出されたのが「ヒハツ」です。これまで、ヒハツの作用として報告されていたのは血流改善作用のみでした。ヒハツの血圧低下作用は、大正製薬が初めて発見したものであり、特許(第4797363号)を取得しています。

1/700の素材「ヒハツ」の有効性の検討

「基礎」から「臨床」まで、エビデンスを積み上げる

血圧低下作用の検討により、ヒハツ中に含まれる辛み成分ピペリンが活性成分であること、また作用機序の検討により、ピペリンの血圧低下作用が血管の内皮依存的な弛緩作用であることを確認しました。さらに、この血管弛緩作用が、血管内皮から放出される血管拡張物質のひとつである一酸化窒素(NO)によるものであることも明らかにしました。

これらの基礎研究を経て、血圧が高めの方(高血圧の診断を受けていない健康な方)を対象とした臨床試験を実施したところ、ヒハツがヒトにおいても高めの血圧を低下させる作用を発揮することが確認できました。

「ヒハツ」の製剤化

開発した素材を日常的に服用し続けられる"カタチ"に設計する

日常生活に自然に馴染む"味"や"仕様"にするため、生活者のみなさまの立場に立って考え抜く必要があります。日常生活に取り入れやすい「茶飲料」として開発するため、20種類以上の茶葉や米などを組み合わせて風味・味の検討を重ね、抹茶や玄米を配合することで「香ばしさ・コク・渋み」のバランスをとることに成功しました。また粉末飲料とすることで携帯性も確保し、利便性の面から、水にも溶ける設計に仕上げました。この製剤設計についても特許(特許第6724384号)を取得しています。

毎日飲んでいただくため、利便性を追求

「特殊加工を施した粉末緑茶」と「加工前の粉末緑茶」の溶けるスピードを比較

ヒハツには高濃度で錠剤化すると体内で溶けにくくなってしまうという性質がありました。しかし、医薬品開発で培った製剤技術を駆使することにより、利便性や続けやすさを重視した"1日1粒"の製品が完成しました。

このように、ひとつの製品が出来上がるまでには、素材スクリーニング等の基礎研究、ヒトでの有効性を確認する臨床研究、さらには実際の生活で利用しやすくするための製剤化研究とさまざまな段階があり、多くの部署が関わって専門性を発揮しています。今後も生活者のみなさまに選んでいただける製品を開発していくため、評価技術、製剤化技術等の向上に取り組んでいきます。

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