セルフメディケーションSelf-medicationSTORY 05

エイジングケア

細胞レベルの研究でエイジングケアの未来を拓く

加齢に伴って体の内外に現れる変化は、心身の健康に大きな影響を及ぼします。大正製薬では、生活者の健康で美しくより豊かな暮らしを実現するために、若々しさを保つ"エイジングケア"の研究も進めています。
1980年代までは老化プロセスは非常に複雑であり、人為的な介入など不可能であると考えられていました。現在でも諸説ありますが、老化は細胞生物学的なプロセスのひとつであり、その主要なメカニズムが徐々に解明されてきています。

老化のメカニズムの探求

髪や肌の若々しさの鍵となる「マイトリガーゼ」に働きかける成分を解明

人間の生命現象には、各臓器の細胞の働きが大きく関わっているといわれていますが、そうした細胞中の器官や分泌する物質の分子生物学的な役割を解明する研究のひとつとして、細胞内のミトコンドリアに着目しました。詳細な研究を重ねる中で、ミトコンドリア内にある酵素「ミトコンドリアユビキチンリガーゼ(以下、マイトリガーゼ)」が、髪や肌に影響を与えることがわかってきました。

マイトリガーゼは、既にアルツハイマー病や心疾患などへの関与が明らかになっています。大正製薬では、マイトリガーゼを発見した学習院大学の柳 茂教授と共同研究を進めたところ、頭皮や毛包を構成する角化細胞においてマイトリガーゼの発現が低下すると、17型コラーゲン(COL17A1)などの発現低下が起こり、白髪の発生をはじめ髪の老化を引き起こすことを確認しました。

言い換えれば、角化細胞内でのマイトリガーゼの発現を高めることができれば、白髪や薄毛といった毛髪のエイジングのケアに寄与する可能性があります。この観点から数百以上の素材を検証したところ、牡丹の根の皮(ボタンピ)から抽出されるボタンピエキスが毛包角化細胞のマイトリガーゼの発現を高めることを発見しました。この細胞は毛髪のメラニン維持や、毛髪の成長期の延長などに関わっています。

ヒトの毛包組織を培養し、メラニン量を観察した。ボタンピエキスを添加した培養毛包では、添加しない対照群に比べて毛包のメラニン量が多い。

マイトリガーゼ発現低下による白髪発生について想定されるメカニズム

白髪を黒髪に改善するメカニズム

「ボタンピエキス」×「ブラックリバースペプチド1」の白髪を黒髪に改善するメカニズムと人での効果

「マイトリガーゼ」を増やす成分で肌の美しさを保てる可能性も確認

大正製薬では、若々しさの鍵となるマイトリガーゼをさらに深掘りし、肌の老化との関係についても研究を進めています。

研究では、肌細胞においてマイトリガーゼが失われた状態を作った結果、ミトコンドリアネットワークがバラバラにちぎれること(断片化)で、活性酸素量が増加することが確認されました。これは、マイトリガーゼが減少した肌細胞の中で、ミトコンドリアダイナミクスの破綻とミトコンドリアの機能低下が引き起こされていることを示しています。そこで、大正製薬がこれまでの研究で発見したマイトリガーゼを増やす複数の成分と、肌の美しさの関係について検討を行いました。

コントロール細胞とマイトリガーゼ減少細胞の比較図

その結果、ハマメリスの葉、ボタンの根、モモから得られる抽出物を組み合わせると、肌の見た目やバリア機能に寄与している因子(カリクレイン7、トランスグルタミナーゼ1)が増えることが確認されました。その一方で、それぞれの抽出物単独では効果が認められなかったことから、3つの抽出物を組み合わせることで相乗的な効果が発揮された可能性があります。この結果を受けて、引きつづき詳しい機序の解明や、マイトリガーゼ発現に有用な他の成分の開拓を進めています。

カリクレイン7の発現量のグラフ
トランスグルタミナーゼ1の発現量のグラフ

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