セルフメディケーションSelf-medicationSTORY 08

疲労研究

多様なアプローチから「疲労」の解明とソリューション提案に挑む

大正製薬は長年にわたり、疲労関連の研究・製品開発を行い、疲労に関する知見を蓄積してきました。近年、生活スタイルの変化に伴い、疲労の種類や質は複雑化しており、その回復に対するニーズも多様化しています。生活者のみなさまの疲労回復に対するさまざまなニーズを解決するため、自社での研究だけでなく、大学や研究機関との共同研究にも積極的に取り組み、さまざまなアプローチから疲労研究を進めています。

深部体温コントロールによる運動パフォーマンス向上

スポーツの現場では、一年を通してトレーニングや試合が行われています。一般的な生活の場面でも夏場は暑さによる疲労を感じやすく、スポーツ競技者の置かれる環境はより一層過酷なものです。

夏場のスポーツ現場では、いわゆる"体温"、体部表面の温度だけでなく、"深部体温"といわれる、脳や内臓など体の内部の温度が上昇することにより、運動パフォーマンスが低下することが知られています。そこで、深部体温の上昇を抑制することによる運動パフォーマンスの向上に関する研究を行いました。ここで着目したのが"氷点下飲料"です。氷点下飲料とは、微細な氷と水が混ざった流動性の高い飲料であり、氷の融解熱により、単に冷水を摂取するよりも高い冷却効果を得ることができると言われています。

氷点下飲料は、融解熱により体の深部から冷却する

氷点下飲料の摂取が深部体温に及ぼす影響を確認するため、「氷点下飲料を摂取した時」と「同組成の飲料を常温で摂取した時」の鼓膜温度を比較してみると、氷点下飲料を摂取した時に速やかな低下が認められました(図1)。さらに、自転車エルゴメーター運動による検討において、氷点下飲料の摂取により最大パワーが向上することが確認されました(図2)。これらの結果から、深部体温をコントロールすることにより運動パフォーマンスを向上できることが明らかとなりました。

図1 体温変化の推移

図2 最大パワー変化率の推移

睡眠の質改善疲労回復

近年、睡眠の質に関する注目が集まっています。睡眠時間が短かったり、眠りが浅かったりした際に、起床時や日中に疲労感を感じやすいことからわかる通り、睡眠の質と疲労には深い関わりがあります。

ヒトには、1日の中での体温サイクルがあり、日中は深部体温が上昇して活動しやすい状態に、夜になると深部体温が低下して入眠しやすい状態になります。夏場に不眠が増えるのは、暑熱環境下においては、深部体温の低下がスムーズに起こりにくく、自然な入眠が難しくなるためです。これにより睡眠の量・質が共に低下し、疲労感の増大にも繋がります。

大正製薬では、氷点下飲料の深部体温低下効果が睡眠の質改善及び疲労回復に寄与する可能性について検討しました。就寝30分前に氷点下飲料を摂取したところ、寝つくまでに要する時間が短縮することを確認しました(図3)。また、同条件での氷点下飲料摂取により、起床時の疲労回復感が改善することも確認されました(図4)。このことから、深部体温をコントロールすることによる睡眠の質改善効果及び疲労回復効果が明らかとなりました。

図3 睡眠潜時

図4 起床時の疲労回復感

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