2024年4月25日

肌のバリア機能に重要な結合型セラミドを増やす成分を発見 ~ヘパリン類似物質および5種の植物エキス~

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大正製薬株式会社[本社:東京都豊島区 社長:上原 茂](以下、当社)は、肌のバリア機能に重要な結合型セラミドに関する研究を進め、ヘパリン類似物質や複数の植物エキスが、角層細胞と細胞間脂質を結びつける結合型セラミドを増やすことを新たに見出しました。本研究成果は2024年3月28日~31日に開催された日本薬学会第144年会にて発表いたしました。

研究の背景

結合型セラミドは、肌の最表面に位置する角層において、角層細胞と細胞間脂質をつなぎとめる特殊なセラミドです。肌のバリア機能の土台として、特に重要な役割を担っています。これまでに当社は、肌の結合型セラミドに着目した研究を行い、外部刺激や細胞の老化によって結合型セラミドが減少し、肌のバリア機能が低下することを発表してきました
肌内部の結合型セラミドを増やすことができれば、外部刺激や老化に負けない、うるおいに満ちた美しい肌に導くことができると考え、結合型セラミドを増やす成分の研究を進めました。

※1 
2023年3月2日発表
『乾燥肌と関わりの深い「結合型セラミド」の新たな可能性を発見』
2024年1月31日発表
『細胞老化が肌のバリア機能に重要な結合型セラミドを減少させる新知見』

研究成果

  1. 新知見、ヘパリン類似物質および植物エキスが結合型セラミドの生成に関わる酵素を増加させる

     
    結合型セラミドの生成には複数の酵素が関わります。ELOVL4等の酵素により非常に長い脂肪酸構造を持つセラミドが作られ、これがALOX12B及びSDR9C7等の酵素により修飾され、角層細胞の表面タンパク質と結びつくことで生成されます。今回、ヘパリン類似物質や複数の植物エキスが、結合型セラミドの生成に関わるこれらの酵素の遺伝子発現量を増加させることを見出しました(図1)。

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  2. ヘパリン類似物質の有用性に結合型セラミドが関わる可能性を発見

    当社はこれまでの研究において、ヘパリン類似物質がバリア機能の乱れを抑制し、外部刺激から肌を守る可能性を発表してきました2。そこで、ヘパリン類似物質に着目し研究を進めました。

    ※2 2023年4月18日発表
     『外部刺激にゆらぎにくく健やかな肌へ、ヘパリン類似物質研究に新知見』


    外部刺激として洗浄剤刺激を行い、ヘパリン類似物質が結合型セラミドの生成に与える影響を検討しました。その結果、ヘパリン類似物質は、外部刺激によって減少した結合型セラミドを増やすことを新たに見出しました(図2a)。さらに、結合型セラミドにより形成されるバリア機能に重要な角層細胞脂質外膜(Corneocyte lipid envelope:CLE)の構造を電子顕微鏡にて観察しました。その結果、ヘパリン類似物質は外部刺激によるCLE構造の消失を抑制し、さらに遊離型セラミドを含む細胞間脂質の乱れを抑制することが確認されました(図2b)。

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今後の展望

ヘパリン類似物質は、結合型セラミドを増やすことで肌に有用である可能性が示され、ヘパリン類似物質の作用メカニズムの一つが解明されました。肌の結合型セラミドは、外部からの刺激や細胞の老化によって減少してしまいますが、当社が見出したヘパリン類似物質や植物エキスにより結合型セラミドを増やすことが出来れば、外部環境や老化に負けない肌の実現につながると考えられます。
当社は、健康で美しくあり続けたいと願う生活者の方々に向けて、これからも美しい肌に繋がる先端の美容研究を進め、その研究成果を皆様にお届けしてまいります。