切れ痔(裂肛)の原因・症状

切れ痔(裂肛)の原因・症状

病院での痔の検査となると、抵抗がある人も多いかもしれません。
しかし最近では、下着を脱がないでもすむ方法で診察するなど、配慮がなされています。
正しい診断のためにも、症状がひどくなる前に、専門医を受診することをおすすめします。

病院での痔の検査となると、抵抗がある人も多いかもしれません。
しかし最近では、下着を脱がないでもすむ方法で診察するなど、配慮がなされています。
正しい診断のためにも、症状がひどくなる前に、専門医を受診することをおすすめします。

<監修>

<監修>

馬場真木子先生 日本橋レディースクリニック院長 馬場真木子先生 日本橋レディースクリニック院長

馬場真木子先生
日本橋レディースクリニック院長

馬場真木子先生
日本橋レディースクリニック院長

ばば・まきこ
杏林大学医学部卒業後、同大学病院第一外科入局。松島病院大腸肛門病センター、松島ランドマーククリニック院長などを経て、現職。医学博士。日本大腸肛門病学会専門医・指導医、臨床肛門病学会技能指導医、日本消化器内視鏡学会専門医、日本外科学会専門医、日本消化器外科学会認定医など。

ばば・まきこ
杏林大学医学部卒業後、同大学病院第一外科入局。松島病院大腸肛門病センター、松島ランドマーククリニック院長などを経て、現職。医学博士。日本大腸肛門病学会専門医・指導医、臨床肛門病学会技能指導医、日本消化器内視鏡学会専門医、日本外科学会専門医、日本消化器外科学会認定医など。

切れ痔(裂肛)とは?

切れ痔(裂肛)とは?

切れ痔(裂肛)とは? 切れ痔(裂肛)とは?

排便する時に強い痛みがあったり、ペーパーでおしりを拭いたら血が付いていたり……それは、もしかしたら「切れ痔」かもしれません。切れ痔とは、肛門の皮膚(肛門上皮:じょうひ)が切れたり、裂けたりしてできた傷のことで、医学的には「裂肛(れっこう)」といいます。

裂肛は痔の中で、いぼ痔(痔核=じかく)に次いで2番目に多い痔です。ウサギのふんのようなコロコロした便や硬い便を無理やり出した時に起こりやすいことから、便秘がちな女性に多い傾向があります。女性は、月経前に多く分泌される黄体ホルモンや妊娠の影響、ダイエットによる食事量の減少などによって、便秘になりやすいといわれています。便秘で硬くなった便は、排出される時に肛門の皮膚を傷つけ、裂肛を生じさせます。

裂肛になると排便のたびに痛みが生じるため、排便をすることが苦痛になります。そこのため、つい排便を我慢してしまうようになると、ますます便秘になるケースも少なくありません。するとさらに便は硬くなり、裂肛も悪化するという悪循環に……。

裂肛の傷は、深くなると潰瘍(かいよう)と呼ばれる状態になります。裂肛を繰り返したり放置して慢性化させると、炎症を起こして周りの皮膚が盛り上がり、肛門の内側に「肛門ポリープ」ができたり、肛門の外側に「見張りいぼ」と呼ばれる膨らみができたりします。また、肛門が狭くなる「肛門狭窄(きょうさく)」になってしまうこともあります。

排便する時に強い痛みがあったり、ペーパーでおしりを拭いたら血が付いていたり……それは、もしかしたら「切れ痔」かもしれません。切れ痔とは、肛門の皮膚(肛門上皮:じょうひ)が切れたり、裂けたりしてできた傷のことで、医学的には「裂肛(れっこう)」といいます。

裂肛は痔の中で、いぼ痔(痔核=じかく)に次いで2番目に多い痔です。ウサギのふんのようなコロコロした便や硬い便を無理やり出した時に起こりやすいことから、便秘がちな女性に多い傾向があります。女性は、月経前に多く分泌される黄体ホルモンや妊娠の影響、ダイエットによる食事量の減少などによって、便秘になりやすいといわれています。便秘で硬くなった便は、排出される時に肛門の皮膚を傷つけ、裂肛を生じさせます。

裂肛になると排便のたびに痛みが生じるため、排便をすることが苦痛になります。そこのため、つい排便を我慢してしまうようになると、ますます便秘になるケースも少なくありません。するとさらに便は硬くなり、裂肛も悪化するという悪循環に……。

裂肛の傷は、深くなると潰瘍(かいよう)と呼ばれる状態になります。裂肛を繰り返したり放置して慢性化させると、炎症を起こして周りの皮膚が盛り上がり、肛門の内側に「肛門ポリープ」ができたり、肛門の外側に「見張りいぼ」と呼ばれる膨らみができたりします。また、肛門が狭くなる「肛門狭窄(きょうさく)」になってしまうこともあります。

裂肛の痛みを避けるために排便を我慢すると便秘になる、そうすると裂肛になる…という悪循環は、「肛門ポリープ」「見張りいぼ」「肛門狭窄(きょうさく)」などを引き起こすことがあります。 裂肛の痛みを避けるために排便を我慢すると便秘になる、そうすると裂肛になる…という悪循環は、「肛門ポリープ」「見張りいぼ」「肛門狭窄(きょうさく)」などを引き起こすことがあります。

切れ痔(裂肛)の主な原因は?

切れ痔(裂肛)の主な原因は?

切れ痔(裂肛)の主な原因は? 切れ痔(裂肛)の主な原因は?

切れ痔(裂肛)の原因について、詳しく見ていきましょう。裂肛は主に、便の状態(硬過ぎや軟らか過ぎなど)が原因で生じます。

切れ痔(裂肛)の原因について、詳しく見ていきましょう。裂肛は主に、便の状態(硬過ぎや軟らか過ぎなど)が原因で生じます。

●切れ痔(裂肛)の原因①……便秘

●切れ痔(裂肛)の原因①……便秘

便秘は、切れ痔の最大の原因です。便秘になってしまう原因は様々ですが、便秘で便が腸に留まる時間が長くなると、留まっている間に水分が吸収されて便がカチカチに硬くなってしまいます。このようなカチカチの硬い便が出ることで、肛門の皮膚(肛門上皮)が切れて切れ痔が生じるのです。

便秘は、切れ痔の最大の原因です。便秘になってしまう原因は様々ですが、便秘で便が腸に留まる時間が長くなると、留まっている間に水分が吸収されて便がカチカチに硬くなってしまいます。このようなカチカチの硬い便が出ることで、肛門の皮膚(肛門上皮)が切れて切れ痔が生じるのです。

●切れ痔(裂肛)の原因②……慢性の下痢

●切れ痔(裂肛)の原因②……慢性の下痢

一方で下痢が切れ痔の原因になることもあります。水分の多い下痢の便は、勢いよく出るため肛門のクッションに負担をかけ、さらに肛門上皮に傷がつきやすくなります。また便秘だからといって、刺激性の下剤を常用し、毎日下痢便で出している人は肛門の拡がりが悪くなり、切れ痔になりやすくなるので、注意が必要です。

一方で下痢が切れ痔の原因になることもあります。水分の多い下痢の便は、勢いよく出るため肛門のクッションに負担をかけ、さらに肛門上皮に傷がつきやすくなります。また便秘だからといって、刺激性の下剤を常用し、毎日下痢便で出している人は肛門の拡がりが悪くなり、切れ痔になりやすくなるので、注意が必要です。

切れ痔(裂肛)の症状は?

切れ痔(裂肛)の症状は?

切れ痔は、初めのうち(急性期)は排便時の痛みや軽い出血が主ですが、切れ痔を繰り返して慢性化すると、潰瘍や肛門ポリープができたり、肛門が狭くなる肛門狭窄(きょうさく)になったりしてしまうことがあります。

切れ痔は、初めのうち(急性期)は排便時の痛みや軽い出血が主ですが、切れ痔を繰り返して慢性化すると、潰瘍や肛門ポリープができたり、肛門が狭くなる肛門狭窄(きょうさく)になったりしてしまうことがあります。

●急性の切れ痔(急性裂肛)の症状

●急性の切れ痔(急性裂肛)の症状

急性の切れ痔(急性裂肛)の症状 急性の切れ痔(急性裂肛)の症状

急性の切れ痔(急性裂肛)の主な症状は痛みと出血です。

排便時に肛門が切れたようなピリッとした痛みがあったり、肛門の筋肉(肛門括約筋)がけいれんして、排便後もジーンとした痛みが続いたりする場合は、裂肛の疑いがあります。出血を伴うケースも多々あります。大量に出血することはまれですが、おしりを拭いた時、トイレットペーパーに付着したりしていたら、切地(裂肛)かもしれません。

急性の切れ痔では、傷ができているのは肛門の皮膚(肛門上皮)のみで、その下の筋肉(肛門括約筋)には傷がないことが多いです。そのため、便通が整って肛門上皮の傷が再生されれば自然に治っていきやすいです。バランスのよい食事で腸内環境を整え、運動をしたりして、便の状態を改善し、セルフケアに取り組んでみましょう。必要に応じて市販薬などを活用するのもよいでしょう。

急性の切れ痔(急性裂肛)の主な症状は痛みと出血です。

排便時に肛門が切れたようなピリッとした痛みがあったり、肛門の筋肉(肛門括約筋)がけいれんして、排便後もジーンとした痛みが続いたりする場合は、裂肛の疑いがあります。出血を伴うケースも多々あります。大量に出血することはまれですが、おしりを拭いた時、トイレットペーパーに付着したりしていたら、切地(裂肛)かもしれません。

急性の切れ痔では、傷ができているのは肛門の皮膚(肛門上皮)のみで、その下の筋肉(肛門括約筋)には傷がないことが多いです。そのため、便通が整って肛門上皮の傷が再生されれば自然に治っていきやすいです。バランスのよい食事で腸内環境を整え、運動をしたりして、便の状態を改善し、セルフケアに取り組んでみましょう。必要に応じて市販薬などを活用するのもよいでしょう。

●慢性の切れ痔(慢性裂肛)の症状

●慢性の切れ痔(慢性裂肛)の症状

慢性の切れ痔(慢性裂肛)の症状 慢性の切れ痔(慢性裂肛)の症状

肛門は毎日便が通るため、本来ならば治るはずの傷がふさがらず、慢性化することもあります。できて間もない切れ痔を放置したり、繰り返したりすることで傷が深くなって潰瘍になり、「肛門ポリープ」や「見張りいぼ」と呼ばれる、皮膚が盛り上がってできた「いぼ」のようなものができやすくなります。

このように、肛門に見張りいぼのようなもの(見張りいぼは血栓性外痔核とは違い、痛みはありません)があれば、切れ痔を繰り返している証拠ともいえます。こうなると、できた傷は再生しにくくなり、手術が必要になるケースもあります。

肛門は毎日便が通るため、本来ならば治るはずの傷がふさがらず、慢性化することもあります。できて間もない切れ痔を放置したり、繰り返したりすることで傷が深くなって潰瘍になり、「肛門ポリープ」や「見張りいぼ」と呼ばれる、皮膚が盛り上がってできた「いぼ」のようなものができやすくなります。

このように、肛門に見張りいぼのようなもの(見張りいぼは血栓性外痔核とは違い、痛みはありません)があれば、切れ痔を繰り返している証拠ともいえます。こうなると、できた傷は再生しにくくなり、手術が必要になるケースもあります。

●肛門狭窄(きょうさく)

●肛門狭窄(きょうさく)

何度も切れ痔を繰り返すと、傷がどんどん深くなり、慢性化していきます。そして、傷が肛門の皮膚(肛門上皮)の下にある肛門括約筋にまで及ぶと、肛門が伸び縮みしにくくなる「肛門狭窄(きょうさく)」になることがあります。肛門狭窄になると、肛門が開きにくくなって排便しにくくなるため、便秘の人はさらに悪化してしまううえ、切れ痔もできやすくなるという悪循環に陥ってしまいます。肛門狭窄は手術が必要になります。

何度も切れ痔を繰り返すと、傷がどんどん深くなり、慢性化していきます。そして、傷が肛門の皮膚(肛門上皮)の下にある肛門括約筋にまで及ぶと、肛門が伸び縮みしにくくなる「肛門狭窄(きょうさく)」になることがあります。肛門狭窄になると、肛門が開きにくくなって排便しにくくなるため、便秘の人はさらに悪化してしまううえ、切れ痔もできやすくなるという悪循環に陥ってしまいます。肛門狭窄は手術が必要になります。

痔と間違いやすい病気も! 市販薬を使用しても1週間改善しなければ受診を

痔と間違いやすい病気も! 市販薬を使用しても1週間改善しなければ受診を

痔と間違いやすい病気も! 市販薬を使用しても1週間改善しなければ受診を 痔と間違いやすい病気も! 市販薬を使用しても1週間改善しなければ受診を

切れ痔(裂肛)の兆候が見られたら、なるべく早く対策をすることが大切です。何度も繰り返して慢性化したり、肛門狭窄(きょうさく)になったりしてしまうと、手術が必要になることもあります。早めにケアをすれば、セルフケアや市販薬で改善することもあります。

しかし、中には「痔だと思っていたら命にかかわる病気だった」ということも少なくありません。痔の症状があったので改善しようと市販薬を使ったものの、一向に症状がよくならない場合は、もしかすると大腸の病気など、痔以外の病気である可能性もあります。

例えば、いぼ痔(痔核)や切れ痔(裂肛)で見られる真っ赤な出血は、大腸がんや肛門に近い大腸疾患でも見られます。そのため、いぼ痔や切れ痔によるものだと自己判断してしまうと、大腸疾患の発見が遅れることもあります。

裂肛自体は命を脅かすような病気ではないため、治療やケアを後回しにしてしまうことも少なくないでしょう。とはいえ、軽く見るのは禁物です。市販薬を1週間使っても改善が見られない、繰り返す症状があれれば、肛門科を受診し、診察を受けることをおすすめします。

女性の場合は特に、肛門科の受診自体を恥ずかしく感じるかもしれません。しかし女性の痔主(じぬし:痔の持ち主)は意外に多く、医療機関でも女性の患者さんが大半を占めるという話がよく聞かれます。ためらわずに受診してみましょう。数は少ないですが、肛門科の女性医師もいます。そうした医療機関を探して受診するのもよいでしょう。

切れ痔(裂肛)の兆候が見られたら、なるべく早く対策をすることが大切です。何度も繰り返して慢性化したり、肛門狭窄(きょうさく)になったりしてしまうと、手術が必要になることもあります。早めにケアをすれば、セルフケアや市販薬で改善することもあります。

しかし、中には「痔だと思っていたら命にかかわる病気だった」ということも少なくありません。痔の症状があったので改善しようと市販薬を使ったものの、一向に症状がよくならない場合は、もしかすると大腸の病気など、痔以外の病気である可能性もあります。

例えば、いぼ痔(痔核)や切れ痔(裂肛)で見られる真っ赤な出血は、大腸がんや肛門に近い大腸疾患でも見られます。そのため、いぼ痔や切れ痔によるものだと自己判断してしまうと、大腸疾患の発見が遅れることもあります。

裂肛自体は命を脅かすような病気ではないため、治療やケアを後回しにしてしまうことも少なくないでしょう。とはいえ、軽く見るのは禁物です。市販薬を1週間使っても改善が見られない、繰り返す症状があれれば、肛門科を受診し、診察を受けることをおすすめします。

女性の場合は特に、肛門科の受診自体を恥ずかしく感じるかもしれません。しかし女性の痔主(じぬし:痔の持ち主)は意外に多く、医療機関でも女性の患者さんが大半を占めるという話がよく聞かれます。ためらわずに受診してみましょう。数は少ないですが、肛門科の女性医師もいます。そうした医療機関を探して受診するのもよいでしょう。

まとめ

まとめ

おしりのトラブルによって、好きなことを好きなように楽しめなかったり、生活の質(QOL)が下がってしまったりするのはもったいないことです。痔は誰もがなる可能性のある病気です。切れ痔(裂肛)の主な原因である便秘・下痢に注意し、恥ずかしがらず、積極的にケアをしていきましょう。

おしりのトラブルによって、好きなことを好きなように楽しめなかったり、生活の質(QOL)が下がってしまったりするのはもったいないことです。痔は誰もがなる可能性のある病気です。切れ痔(裂肛)の主な原因である便秘・下痢に注意し、恥ずかしがらず、積極的にケアをしていきましょう。