PROFESSIONAL Cross Talk 2 大正製薬の研究・生産技術力 研究職×開発職(医療用医薬品)

研究と開発は、いわば医薬品の「種」を生み出す人と、育てる人。現場のニーズに合った新薬を世に出すというゴールを見据えてタッグを組む

茶木 茂之 創薬薬理第1研究室 室長

入社後、受容体作用薬の基礎研究に従事したあと、1995年から精神疾患治療薬のテーマ立案や推進に携る。2008年からは室長として精神疾患領域の基礎構築に携わると共に、精神疾患領域の創薬責任者ならびに開発プロジェクトのリーダーとしてプロジェクトを推進。

1987年入社
薬学研究科卒

西野 いずみ 開発推進部 チーフプロジェクトリーダー

入社以来、開発部門における企画業務、渉外業務を担当。戦略スタッフとして経験を積み、2010年に医薬開発本部に異動。2012年からは開発推進部のチーフプロジェクトリーダーとして、精神疾患領域の開発プロジェクトを取りまとめる。

1989年入社
薬学部 製薬化学科卒

研究と開発が両輪となり、プロジェクトを進める

西野(開発)
医療用医薬品の研究開発というと、動物や器具を前に毎日実験ばかりしている……というイメージを思い浮かべてしまうかもしれませんね。実際は、実にさまざまな分野の人たちが関わっています。まず、私たちそれぞれの役割から説明しましょうか。
茶木(研究)
そうですね。創薬には、まず「どういう薬をつくるか」というプロジェクトの起案があり、そのテーマに沿った候補化合物をつくります。そしてさまざまな実験を経て非臨床試験、臨床試験を行い、申請、承認という流れで進みます。その中でも私たちは候補化合物をつくり出す部分を担っています。つまり新薬の「種(タネ)」の「生みの親」ともいえると思います。
西野(開発)
茶木さんたちが生みの親なら、私たち開発は「育ての親」。研究部門から受け取った「種」の開発計画、実施、データ解析、当局への申請業務などのプロセスに広く関わっています。途中で見直しながらどんな修正が必要なのかを研究部門と検討していくので、承認申請をとる段階まで連携して仕事を進めます。また、私たちは現場のドクターと直に話をしますから、臨床の進め方や医療現場からのニーズなどの情報を集め、研究部門にフィードバックする役割もあります。
茶木(研究)
そういう観点で見ると、大正製薬は連携しやすいと思いませんか。研究部門と開発部門が比較的近い場所(高田馬場と大宮)に立地しているので、頻繁に情報交換ができますから。
西野(開発)
研究や開発の進捗を随時把握できますよね。新薬の開発プロジェクトには、さまざまな部署が関わって、上市(市場に送り出す)というゴールに向かいます。研究、開発、営業などの考えをお互いに理解してこそ、良い薬ができると思います。プロジェクトの早い段階から、直接話し合える場を持てるのは有利ですね。

大正製薬だからこそできる新薬を誕生させたい

茶木(研究)
医療の現場を知る西野さんから見て、私たちが担当している「精神疾患」分野の市場性はどうでしょう。大正製薬が「精神疾患」「代謝性疾患」「感染症」「免疫性疾患」の4分野に対象を絞り込んだのは1995年ごろだったと思いますが(現在は「精神疾患」「代謝性疾患」「感染症」の3分野に特化)、それ以前から精神疾患治療薬の研究開発を進めていましたね。
西野(開発)
1980年代は、まだ精神疾患に対する認識が低かった頃です。当時から、他社に追随するものではなく、疾患の本質に迫る独創性の高い創薬に挑んでいたと思います。当時に比べると、今は精神科に対するハードルが低くなって裾野が広がり、また社会的な背景からもうつ病などの精神疾患に苦しむ患者様も急増しています。より薬効が高く副作用の少ない薬剤が開発できれば、市場が開拓できる可能性は十分あります。茶木さんは、こうした分野の研究で軸にされていることはありますか?
茶木(研究)
疾患に対する深い理解と研究を進める上での科学的能力の高さはもちろん、ブレない信念は大切です。創薬は10年単位の研究になりますから、プロジェクトへの評価はその時の流行に左右されます。流行に振り回されないことですね。とはいえ、現場の最新の情報を取り入れながら修正していく柔軟性も必要です。いずれにしても、「良い薬をつくりたい」という熱い想いが欠かせません。
西野(開発)
そうした研究者の熱い想いをカタチにすること。そのためには新薬ならではの特徴を市場に明確に示すことも大切です。例えば熱を下げる薬を開発した場合、熱を下げるというアウトプットだけでは新薬の意味がありません。「早く効く」「咳も抑える」というような特徴(コンセプト)が必要になる。プロジェクトリーダーという立場から、そのコンセプトを証明するためにどういう開発方法が適切か、どういうデータを集めなければならないかを、いつも考えています。
茶木(研究)
西野さんは開発部門の管理、企画、渉外などあらゆる部門を経験されたので、広い知識が求められる今の業務に活かされていますね。
西野(開発)
開発プロジェクトを推進するにあたり上手に舵を切るために、各専門分野から、意見をたくさん出してもらえるように、いつも動き回っていますよ。研究部門のほかにも、企画、法務、知財、渉外などさまざまな部門と連携しながらプロジェクトは進みます。視点の違う意見を集約してこそ、確度の高い医薬品が生まれますから。
茶木(研究)
研究部門でも、より有用な新薬の種を創製するためには候補化合物の体内動態、安全性評価など各チームの連携、意見のやり取りが欠かせません。特に精神疾患領域はまだまだ分からない部分が多く、仮説をもとに進みつつも、その方向が正しいのかどうか悩むこともあります。あらゆる評価試験を経て、仮説が正しいという結果が得られると、研究者としてとてもうれしいです。また、自分達の研究成果に対する周囲からの評価が高ければ、モチベーションが上がり達成感も格別です。
西野(開発)
開発も同じです。ゴールまでの道のりは長いですし成功確率は必ずしも高くありませんが、初めてヒトの臨床ステージに上がったとか、プルーフ・オブ・コンセプト(ヒトへの有効性と安全性を調べる試験)で初めてプラスの結果が出たという時は、うれしくて仕方がありません。これからも、研究と開発の立場から意見を出し合い、本当に必要とされる医薬品を世の中に広めていきたいと思います。
茶木(研究)
大正製薬だからこそできたと評価されるような新薬誕生に向けて、これからもタッグを組んでいきましょう!

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