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高血糖について

高血糖にまつわる話

6.3人に1人が関わる病気

2002年、厚生労働省が20歳以上の5792人を対象にした「糖尿病実態調査」によると、糖尿病が強く疑われる人/740万人、糖尿病の可能性が否定できない人/880万人という結果が出ています。つまり、成人の6.3人に1人が糖尿病と関わりがあるといえます。しかし、糖尿病が強く疑われる人/740万人のうち、糖尿病で治療を受けている人は、約半数(50.6%)しかいないのが現状です。糖尿病は初期症状がほとんどないため、放っておく人が多いのですが、確実に病状は進行しますので早期治療が大切です。

糖尿病の種類

糖尿病は次の4種類に分類されます。

1型糖尿病
すい臓の病気などでインスリンがほとんど分泌されないために起こる。子どもに突発的に発症するケースが多く、糖尿病患者の約2パーセントを占める。

2型糖尿病
インスリンの分泌量が少なかったり、働きが悪いために起こる。40歳以降の人に多く、自覚症状があらわれにくい。ゆっくりと進行し、糖尿病患者の約95パーセントを占める。

遺伝子の異常や他の病気が原因となるもの
遺伝子の異常や内分泌疾患、肝臓やすい臓の病気、感染症、免疫の異常などが原因。

妊娠糖尿病
妊娠により、ホルモンのバランスがくずれて発症する。

糖尿病の症状

糖尿病は別名「サイレントキラー(静かな殺し屋)」と呼ばれており、初期症状がほとんどなく、静かに進行するのが特徴です。自覚症状がないからと放っておくと、症状が出るころには重篤な合併症を起こしているケースも多いので注意してください。下記のチェックリストを参照に、日ごろから体の状態に気をつけておきましょう。

糖尿病のSOSサイン
  • ・体がだるい・疲れやすい
  • ・尿の量が多い
  • ・食べてもすぐにお腹がすく
  • ・食べるわりに体重が減ってくる
  • ・トイレが近い
  • ・のどが渇き、よく水を飲む
  • ・甘いものが急に欲しくなる
進行した時の症状
  • ・ふくらはぎがつる
  • ・視力が落ちる
  • ・異常に汗をかく
  • ・手足がしびれる
  • ・手足がほてる、または冷える
  • ・皮膚が化膿しやすい、傷が治りにくい
  • ・眼がかすむ
  • ・便秘や下痢を繰り返す
  • ・立ちくらみがする
  • ・手足が痛む
  • ・勃起障害がある

治療について

糖尿病の診断法
病院では糖尿病の診断にあたって、おもに次の2つの検査を行います。

空腹時血糖値…早朝、空腹のまま採血して血糖値を測定。110mg/dL未満が正常型。
2時間後血糖値…空腹時にブドウ糖溶液を飲み、2時間後に血糖値を測定。140mg/dL未満が正常型。

空腹時血糖値が126mg/dL以上、2時間後血糖値200mg/dL以上の場合、糖尿病と診断されます。また、糖尿病ではありませんが、放っておくと糖尿病に移行する可能性が高いのが境界型。境界型は空腹時血糖値が110~126mg/dL未満、2時間後血糖値が140~200mg/dL未満です。

治療の基本は
糖尿病は高脂肪食や過食、運動不足、過度のストレスなどが関わって発症する病気です。これらの生活習慣を改善し、きちんと血糖値をコントロールすれば、健康な人と変わらない日常生活を送ることができます。ですから、糖尿病の治療は「食事療法」と「運動療法」が基本となります。これらによって改善しない場合は「薬物療法」を行います。

食事療法
食事療法というと「制限が多く、空腹を我慢するのがつらい」というイメージを持つ人が多いようですが、適正なエネルギー量で栄養バランスのとれた食事を3食きちんと摂る「健康食」が、食事療法の基本です。
まず、主治医に相談して、1日に摂取してよいエネルギー量を決めます。その上で、糖質、タンパク質、脂質の3大栄養素に加え、ビタミン、ミネラル、食物繊維を十分に摂ることが大切です。

糖尿病の食事療法をスムーズに行うために、次のことを心がけてください。
  • ・毎食ごとに野菜や食物繊維の多い食物(海藻、きのこなど)をたっぷり摂る。
  • ・甘いものや脂っぽいものは食べ過ぎない。
  • ・果物を食べ過ぎない。
  • ・素材の味を生かした薄味にする。
  • ・アルコールは適量に。
  • ・多いと感じたら残す。
  • ・ひとり分ずつ、取り分けて食べる。
  • ・ながら食い、まとめ食いはやめる。
  • ・よく噛み、ゆっくり食べる。
  • ・朝・昼・夕食をきちんと摂り、ほぼ等しいエネルギーを摂取するようにする。
  • ・遅い夕食は避け、就寝前の3時間は食べない。
  • ・おもな食品のエネルギーを知る。

正しい療法のために

必要エネルギーの求め方
正しく食事療法を行うためには、自分の適正体重と日常生活に合った必要エネルギーを把握することが大切です。そのためには、自分の適正体重を知っておきましょう。

適正体重(kg)=身長(m)の二乗×22
例)身長が160cmの人の場合……1.6(m)×1.6(m)×22=約56(kg)

必要エネルギーは標準体重と、体を動かす程度(身体活動量)によって決まります。

必要エネルギー(kcal)=標準体重(kg)×身体活動量(kcal)

軽い デスクワークがおもな人、幼児がいない専業主婦など、座っていることが多い仕事 25~30kcal
中くらい サービス業、育児中の主婦など、立っていることが多い仕事 30~35kcal
やや重い 農耕作業、建設業、運搬業など、肉体労働を行う仕事 35~40kcal
重い 建設作業現場、スポーツ選手など、重い肉体労働を行う仕事 40kcal~

例)身長が160cmのデスクワークの人の場合……56(kg)×25(kcal)=1400 kcal
1日に約1400kcalのエネルギー摂取が必要となります。このエネルギー量に従い、栄養バランスのとれた食事を摂るようにしましょう。

必要エネルギー早見表
身長(cm) 標準体重(kg) ×20
kcal/kg
×25
kcal/kg
×30
kcal/kg
×35
kcal/kg
150 49.5 990 1240 1490 1730
155 52.9 1060 1320 1590 1850
160 56.3 1130 1410 1690 1970
165 59.9 1200 1500 1800 2100
170 63.6 1270 1590 1910 2220
175 67.4 1350 1690 2020 2360
180 71.3 1430 1780 2140 2500

※この表は標準値を基準として算出したものです。

運動療法
運動は肥満を解消し、ブドウ糖の消費を高めて血糖値を下げるとともに、インスリンの働きを活性化する効果があります。さらに、血液循環や心肺機能を促進したり、ストレス解消にも有効です。場所を選ばず、ひとりで続けられる、ウォーキングなどの運動を選びましょう。運動の強さは「少し汗ばみ、隣の人と楽に会話できる程度」が目安です。運動の効果は約2日間持続するので、最低でも1日おきに行うようにしましょう。
ただし、血糖値が著しく高い場合や、すでに合併症が進行している人は控える必要があります。まずは主治医に相談してください。

薬について

血糖値を下げる飲み薬
血糖値を下げるために服用する薬は、正式には「経口血糖降下薬」といいます。薬を服用すると体内に吸収され、肝臓やすい臓、筋肉、腸などに働きかけて血糖値をコントロールします。薬は糖尿病のタイプや症状、病歴、年齢、体格などに応じて処方されます。服用に際しては医師の指示に従うことはもちろん、薬の種類や一般名を覚え、作用と副作用をしっかり把握しておくことも大切です。薬を服用しているときも食事療法や運動療法をきちんと行いましょう。

インスリン注射について
インスリンがほとんど分泌されていなかったり、飲み薬で効果があがらない人、感染症を併発した場合、手術時、ステロイドホルモン投与などにインスリン注射が行われます。注射を打つ箇所はおもに腹部で、太ももや腕にすることもできます。最近は操作が簡単なペン型の注射器が普及しています。

インスリンには、効果が現れるまでの時間と作用が持続する時間によって、超速攻型、速攻型、中間型、持続型、混合型(速攻型と中間型を混ぜたもの)の5つに分類されます。患者の状態によって、一日の注射回数やインスリン量、インスリンの種類を決定します。インスリン注射をするときは時間と量をしっかり守り、食事をきちんと摂ることが重要です。勝手な判断で使用を中止するようなことはせず、必ず主治医に相談してください。

また、インスリン注射は決して最後の選択というわけではなく、一度始めたら一生続けなければいけないということでもありません。血糖値が高いことによってインスリンの分泌が抑制されているので、インスリン注射により数カ月間、血糖値をよい状態に保ち、患者のインスリン分泌が回復した時点で、飲み薬に切り換えるという治療が広く行われるようになっています。

菅原正弘先生(すがわら・まさひろ)

菅原正弘先生(すがわら・まさひろ)
医学博士。リウマチ、膠原病、糖尿病、内分泌を中心とした臨床に従事。保健所の予防教室、講演会、著書などを通じ、生活習慣病の啓発活動も積極的に行う。菅原医院院長、順天堂大学内科非常勤講師、日本臨床内科医会常任理事、日本糖尿病学会専門医、東京都糖尿病協会会長。著書に『高脂血症』(講談社)など。
菅原医院オフィシャルサイト:http://www.sugawara.or.jp/
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