2010年度上原記念生命科学財団
上原賞・各種研究助成金受賞者決定のお知らせ

2010年12月17日

公益財団法人上原記念生命科学財団(東京都豊島区、理事長:上原昭二/大正製薬株式会社名誉会長)は、12月17日(金)に開催した理事会において、2010年度 上原賞・各種研究助成金贈呈対象者を決定しましたのでお知らせいたします。
今年度の上原賞受賞者は2名、各種助成件数は325件、助成金総額は10億7,790万円です。

上原賞 2名 4,000万円(1件 2,000万円)
○河西春郎氏 東京大学大学院医学系研究科教授

対象となった研究実績:  「大脳シナプスと分泌現象の2光子顕微鏡を用いた研究」
○間野博行氏 自治医科大学教授・東京大学特任教授
対象となった研究実績:  「肺がん原因遺伝子EML4-ALKの発見と臨床応用」

各種助成金 325件 10億3,790万円

研究助成金 (1件500万円)   70件   3億5,000万円
研究推進特別奨励金 (1件400万円)   10件   4,000万円
研究奨励金 (1件200万円)   90件   1億8,000万円
海外留学助成金リサーチフェローシップ   65件   2億1,780万円
海外留学助成金ポストドクトラルフェローシップ   35件   1億3,210万円
その他    
国際シンポジウム助成金   30件   3,000万円
来日研究生助成金   5件   1,800万円
特定研究助成金(継続助成分)   20件   7,000万円

公益財団法人上原記念生命科学財団は、1985年の設立以来、今年度で26年を迎えました。これまで生命科学に関する諸分野の研究に対する助成を行ってきました。2010年までの助成(上原賞含む)は約6,570件、約195億円に上ります。
上原記念生命科学財団のホームページはこちらをご覧ください。

上 原 賞 受 賞 者

受賞者氏名:河西 春郎 (カサイ ハルオ) 医学博士
所属機関および役職:東京大学大学院医学系研究科附属疾患生命工学センター教授
生年月日   昭和   32年    1月27日生
略  歴   昭和   56年   3月 東京大学医学部医学科卒業
    56年   6月 医師免許取得
    56年   4月 東京大学医学部博士課程入学
    60年   3月 東京大学医学部博士課程終了 医学博士
    60年   4月 東京大学医学部大学院 研究員
    62年   12月 ドイツMax-Plank生物物理化学研究所 Humboldt研究員
  平成   2年   6月 東京大学医学部 助手
    5年   11月 東京大学大学院医学系研究科 助教授
    11年   12月 自然科学研究機構生理学研究所 教授
    17年   10月 東京大学大学院医学系研究科附属疾患生命工学センター教授

褒賞対象となった研究業績
「大脳シナプスと分泌現象の2光子顕微鏡を用いた研究」
大脳皮質のシナプス可塑性、特に学習、記憶の機構解明にケイジドグルタミン酸を用いる2光子顕微鏡システムを開発した。この方法により、単一シナプスを刺激することが可能になり、刺激に伴う大脳シナプスの運動・形態変化と学習、記憶の関係を明らかにした。また、スパインのアクチン繊維の変化を光活性化GFPを用いて解析し、スパインの運動性(頭部増大)と長期記憶現象との関係を明らかにした。さらには、分泌現象においても2光子顕微鏡を用いて単一分泌小胞について、その容積、表面積等を定量的に測定する方法を確立し、分泌過程を生きた細胞内で経時的に追及することが可能となった。2光子顕微鏡を駆使した大脳シナプス可塑性と分泌現象を解明した画期的研究業績。

上 原 賞 受 賞 者

受賞者氏名:間野 博行 (マノ ヒロユキ) 医学博士
所属機関および役職: 自治医科大学分子病態治療研究センターゲノム機能研究部教授
  東京大学大学院医学系研究科ゲノム医学講座特任教授
生年月日   昭和   34年   6月1日生
略  歴   昭和   59年   3月 東京大学医学部医学科卒業
    59年   6月 東京大学医学部附属病院 内科研修医
    61年   6月 東京大学医学部第三内科 医員
  平成   元年   5月 米国 St. Jude小児研究病院生化学部門 客員研究員
    3年   8月 東京大学医学部第三内科 文部教官助手
    5年   8月 自治医科大学医学部分子生物学講座 講師
    7年   6月 同講座 助教授
    12年   4月 自治医科大学分子病態治療研究センターゲノム機能研究部助教授
    13年   6月 同研究部 教授
    21年   9月 東京大学大学院医学系研究科ゲノム医学講座 特任教授(兼任)

褒賞対象となった研究業績
「肺がん原因遺伝子EML4-ALKの発見と臨床応用」
独自のがん遺伝子スクリーニング技術を開発し、それを用いて肺がんの新規融合型チロシンキナーゼEML4-ALKを発見する事に成功した。正常細胞ではEML4遺伝子とALK遺伝子は同一染色体上に互いに反対向きに存在するが、肺がんにおいて両遺伝子を挟む領域が微小な逆位を形成して遺伝子融合が生じる事を解明した。また、発生工学的手法を用いてEML4-ALKが同遺伝子陽性肺がんの本質的な発症原因である事、従って同遺伝子産物は肺がんの新しい治療標的となる事を証明した。また肺がん患者に対するALK阻害剤を用いた臨床試験が開始された際は、正確なEML4-ALK分子診断法を開発しその普及活動を行った。肺がんの原因遺伝子の発見と診断法の開発、さらには治療薬開発の契機となった独創的研究業績。

<参考資料>

■資料1■
【助成金額の推移】

グラフ

■資料2■
【いままでの上原賞(研究業績褒賞)受賞者一覧(敬称略)】

年度 受賞者 所属(受賞時)
2009 杉山 雄一 東京大学大学院薬学系研究科長・教授
  西田 栄介 京都大学大学院生命科学研究科教授
2008 飯野 正光 東京大学大学院医学系研究科教授
  山中 伸弥 京都大学物質-細胞統合システム拠点iPS細胞研究センター長
2007 門脇 孝 東京大学大学院医学系研究科教授
  坂口志文 京都大学再生医科学研究所長
2006 審良静男 大阪大学微生物病研究所教授
  寒川賢治 国立循環器病センター研究所副所長
2005 鍋島陽一 京都大学大学院医学研究科教授
  水野美邦 順天堂大学医学部教授
2004 清水孝雄 東京大学大学院医学系研究科教授
  田中啓二 (財)東京都医学研究機構東京都臨床医学総合研究所副所長
2003 谷口 克 千葉大学大学院医学研究院教授
  長野哲雄 東京大学大学院薬学系研究科教授
2002 月田承一郎 京都大学大学院医学研究科教授 (2005年逝去)
2001 成宮 周 京都大学大学院医学研究科教授
  柳田充弘 京都大学大学院生命科学研究科長・教授
2000 浅島 誠 東京大学大学院総合文化研究科教授
  田中紘一 京都大学大学院医学研究科教授
1999 宮下保司 東京大学医学部教授
1997 長田重一 大阪大学医学部教授
  御子柴克彦 東京大学医科学研究所教授
1996 矢崎義雄 東京大学医学部長・教授
1995 竹市雅俊 京都大学大学院理学研究科教授
1994 廣川信隆 東京大学医学部教授
1993 谷口維紹 大阪大学細胞生体工学センター教授
  本庶 佑 京都大学医学部教授・遺伝子実験施設長
1992 市原 明 徳島大学酵素科学研究センター長・教授
  多田啓也 東北大学医学部教授
  永津俊治 藤田保健衛生大学総合医科学研究所教授
1991 高久史磨 国立病院医療センター院長
  中西重忠 京都大学医学部教授
1990 垂井清一郎 大阪大学医学部教授
1989 大野雅二 東京大学薬学部教授
1988 大村 智 北里研究所理事・副所長
1987 宇井理生 東京大学薬学部教授
1986 入澤 宏 岡崎国立共同研究機構生理学研究所教授 (1991年逝去)
1985 杉田秀夫 国立武蔵療養所神経センター疾病研究第一部長
  家森幸男 島根医科大学教授