大正製薬と米国・ファイブロジェン社が
抗CTGF抗体の共同開発提携を契約

1999年9月9日



大正製薬(社長 上原 明)と、米国のバイオベンチャー企業、ファイブロジェン社(本社 米国カリフォルニア州サウスサンフランシスコ 社長 トーマス B. ネフ)は、抗CTGF抗体を始めとするCTGF関連抗体に関する、共同研究開発の提携契約に合意しました。

この抗CTGF抗体は、ファイブロジェン社が発見し、慢性腎不全の治療薬として期待されている物質です。
慢性腎不全には「腎臓の線維化」が多く見られ、症状が進むと腎臓は機能しなくなり、患者さんは人工透析か腎移植に頼るしかありません。
慢性腎不全の患者数は年々増加の一途をたどっているものの、その確固たる治療法は未だ確立されていません。しかし、分子生物学等の進歩により病態及び関連因子の解明が進んできました。

本抗体は、組織の線維化に重要な働きをしていると考えられる因子・CTGF(結合組織増殖因子)に結合、腎臓の線維化を阻害します。腎疾患の進展を予防し、結果として人工透析への移行を遅延させることが想定されます。
人工透析は多額の費用がかかるとともに、患者さんを拘束する時間も長く、本抗体の研究開発は、社会への医療経済的な貢献と患者さんのライフスタイルの改善の両方を担うものと考えています。

近年の研究では、組織の線維化に作用している因子が徐々に明らかにされており、TGFβ(形質転換増殖因子β)がCTGFの産生を促進することにより細胞増殖と細胞間基質形成を促進するものと考えられています。当面両社は、糖尿病性腎症などの腎疾患における研究開発を進める予定ですが、組織の線維化は体内の様々な部位で起こることから、他疾患での研究開発の可能性もあります。

ファイブロジェン社は、新しい線維化治療薬とリコンビナントコラーゲン等の生物材料に注力しているバイオベンチャー企業です。短期的にはリコンビナントコラーゲンと生合成されたゼラチンの上市を予定しており、また長期的には皮膚損傷,各臓器の線維症,組織再生等の領域での医薬品ビジネスを予定しています。

大正製薬は、現在医療用医薬品分野における研究開発力を着実に強化しており、その一環としてバイオベンチャー企業との提携を積極展開している最中です。ベンチャー企業からの導入候補品探索を手がけているレクメド社(社長 松本 正)とも協力体制を築き上げており、今回のファイブロジェン社との提携もレクメド社による紹介,協力によるものです。

この抗CTGF抗体の共同研究開発は、糖尿病領域を戦略領域の一つに掲げている大正製薬と、有力な事業パートナーを求めていたファイブロジェン社との企業方針が合致したものといえます。
今回の契約により、欧州・米国の開発・販売権はファイブロジェン社が留保し、大正製薬は、ワールドワイドでの開発に協力し、アジア地域の開発・販売権及び欧米での利益の一部還元を得ることになっています。

「抗体」を元とした治療薬の研究開発としては、本年3月に発表した米国のバイオベンチャー企業「アイデック・ファーマシューティカル社」との研究開発提携に続くものになります。

◆ファイブロジェン社(FIBROGEN INC.)概要
設  立 1993年9月
所 在 地 米国カリフォルニア州サウス・サンフランシスコ
社  長 トーマス B.ネフ
従業員数 66名(約70%が研究開発人員)


【参考】米国・ファイブロジェン社のプレスリリース(英文)